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イグ・ノーベル賞日本人はなぜ18年連続受賞なの?

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2024年9月13日、イグ・ノーベル賞の受賞者が発表されました。

東京医科歯科大学と大阪大学で教授を務める武部貴則氏の研究チームが「多くの哺乳類が肛門呼吸できることの発見について」という研究で「生理学賞」を受賞しました。

これで、日本人は2007年から18年連続受賞となりました。

イグ・ノーベル賞を日本人はなぜ18年連続受賞なのでしょうか?

通算すると1991年にイグ・ノーベル賞が創設されてから、34年間のうち27回は日本人が受賞していることになります。

イグ・ノーベル賞とはノーベル賞のパロディとしてアメリカの科学雑誌が始めた賞で、「まず人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に与えられる賞と言われている賞です。

日本人はとかくユーモアが足りない、真面目すぎてつまらないと言われています、「まず人々を笑わせる…」イグ・ノーベル賞を日本人はなぜ18年連続で受賞しているのでしょうか?

 

1.イグ・ノーベル賞は授賞式でも人々を笑わせなければならない!

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、授賞式はオンラインで開催されていました。

ですから、2024年のイグ・ノーベル賞の授賞式は5年ぶりのオフラインでの開催となったのです。

授賞式は、アメリカのマサチューセッツ工科大学で行われました。

まず受賞者も観客も、全員が紙飛行機を作り投げることによって授賞式が始まります。

そして、受賞者は一本の長いロープにつかまり、一列になって壇上に登場します。

これは、先生に引率されている幼稚園児のパロディということです。

そして、受賞者は自らの研究の内容をだれにでも分かるように「7単語」だけで、「24秒」以内に紹介しなければなりません。

演説の制限時間は60秒。

その上、授賞式では、人を笑わせなけらばならないのです。

60秒を過ぎたり面白くないと、進行役の8歳の少女が「もうやめて、退屈なの」と止めに入るからです。

「生理学賞」を受賞した武部貴則チームは、ドジョウのかぶり物をかぶって登場しました。

そして、武部教授が「お尻には呼吸ができるという秘められた能力があることを信じてくださってありがとうございます」と英語でスピーチでしたのです。

武部教授は「お尻」と聞くと、おもしろい話題のように感じると思って、スピーチに「お尻」を入れたと、NHKの取材に話されていました。

このドジョウのかぶり物は、実は「生理学賞」を受賞した「多くの哺乳類が肛門呼吸できることの発見について」に関係があります。

では「多くの哺乳類が肛門呼吸できることの発見について」は、どのような研究なのでしょうか?

 

2.武部チームの受賞した「多くの哺乳類が肛門呼吸ができることの発見」はどんな研究?

 

イグ・ノーベル賞日本人はなぜ18年連続受賞なの?

武部チームが受賞した「多くの哺乳類が肛門呼吸ができることの発見」とは、どんな研究なのでしょうか?

「お尻」には呼吸ができるという秘められた能力…とは、どのような能力なのでしょうか?

 

1.「多くの哺乳類が肛門呼吸ができることの発見」とは?

「多くの哺乳類が肛門呼吸ができること発見」とは酸素を含む特殊な液体を、ブタなどの動物の腸にお尻から送り込むと呼吸不全の症状を改善する…という液体を使った「腸呼吸」の発見です。

魚は肛門から酸素を吸収するということは、知られていたメカニズムでした。

そして、ドジョウは一般的な魚類と同じようにエラ呼吸をしています。

ドジョウは腸に蓄えた空気から酸素を取り込むエラ呼吸を行いながら、残った気泡を肛門から出す「腸呼吸」を行っているのです。

 

2.「再生医療」専門の武部教授が「腸呼吸」に着目したのは?

2017年にこの研究はスタートしていました。

武部教授は「再生医療」の専門家でした。

2020年以降の新型コロナ感染拡大によって、各地の医療機関で重い肺炎、呼吸不全の患者が増加していたのです。

この時、武部教授は思いがげないアクシデントに見舞われました。

武部教授の父親がICUで呼吸管理されることになってしまったのです。

片方の肺が別の病気で使えない状態で、口からだけの呼吸に頼る人工呼吸器では難しい。

命を落とすリスクがあると…。

呼吸の補助をするだけではなく、口以外からでも酸素を届ける方法はないか…と武部教授は考えたのです。

父親を助けたい…その強い想いで武部教授はこの研究を続けたのです。

 

2.イグ・ノーベル賞の日本人の歴代受賞研究は?

 

1991年にイグ・ノーベル賞が創設されました。

それから現在までに、日本人のどんな研究に対してイグ・ノーベル賞を受賞したのか、興味深いものを調べてみました。

日本人のイグ・ノーベル賞の過去の受賞歴

  1. 1992年には「足の匂いの原因となる化学物質の特定」という研究に対して、資生堂の研究員チームが「医学賞」を。
  2. 1995年には「ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功したことに対して」という研究に、慶応義塾大学のチームが「心理学賞」を。
  3. 1997年には「『たまごっち』により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やせたことに対して」ということで「経済学賞」を。
  4. 1999年には「夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できるスプレー「Sチェック」を開発した功績に対して」ということで「化学賞」を。
  5. 2002年には「犬語翻訳機『バウリンガル』の開発によってヒトとイヌに平和と調和をもたらした業績に対して」ということで「平和賞」を。
  6. 2004年には「カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供した」業績に対して「平和賞」を。
  7. 2005年には「34年間自分の食事を写真撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析したこと」に対して、ドクター中松さんが「栄養学賞」を。

イグ・ノーベル賞には、「たまごっち」や「カラオケ」「バウリンガル」など、日本の社会現象になったり、現在も続いているアミューズメントもありました。

その一方で、浮気を発見するためのスプレーの開発など、他人には知られたくない深い悩み事ごとから救う研究などにも授与しています。

イグ・ノーベル賞はノーベル賞よりも、私たち社会に実は寄り添っている賞なのかもしれません。

 

3.イグ・ノーベル賞を日本人はなぜ18年連続しているのでしょうか?

このイグ・ノーベル賞は、受賞者の旅費及び滞在費は自己負担、賞状はコピー用紙にプリントされたもの、トロフィーはのりが付いた組み立てキット、賞金は原則ゼロで紙幣として無効の10兆ジンバブエドルが授与されます。

ノーベル賞の賞金は、研究の1チームあたり1,000万スウエーデンクローナ(約1億5,000万円)ですから、イグ・ノーベル賞はノーベル賞のパロディと言われているのです。

そのイグ・ノーベル賞を日本人はなぜ18年連続受賞しているのでしょうか?

イグ・ノーベル賞を立ち上げて以来、現在も主催者を務めるマーク・エイブラハムズさんは、NHKのインタビューにこのように話されています。

 

1.マーク・エイブラハムズ氏の話

「日本とイギリスは突出して多くの受賞者を出しています。

それは日本とイギリスでは、本当に風変りなアイデアを思いついた人を排除することなく大切にして、自分たちの中の1人として受け入れてきた結果です。

そうした小さなことの積み重ねがあって、両国はいまや誰もが使っているさまざまな技術の開発に大きな成功を収めてきたのです」…と。

武部教授もNHKのインタビューにこのように話されています。

 

2.武部教授の話

「研究をしていても一定の評価をされないと長く続けられない面がある中、今回の受賞を大きな意義があると思いました。

『変なことをやっていても大丈夫だ』という勇気をもらった気がするので、これからも変わった視点から研究を続けたい」と。

 

3.日本人の資質

日本人には二つの資質があると思います。

  1. コツコツと積み重ねる努力の大切さを知っている
  2. 自分の夢や信念を貫く勇気がある

そして、努力を見事に大成している人が、武部教授や、ドジャースで活躍している大谷翔平選手のような人なのだと思います。

最初は自分の強い意志と努力。

そして、自分の努力が結果として表れてくると、やがて周りの環境を味方に変えてくれるのです。

 

4.イグ・ノーベル賞日本人はなぜ18年連続受賞なの?:まとめ

2024年度のイグ・ノーベル賞の受賞者が発表されました。

日本人は18年連続の受賞となりました。

日本人はなぜ18年連続受賞なのでしょうか?

それは、その研究にだれかを助けたい…という強い愛があるからだと思います。

2023年に「電気刺激を施したストローを用いた味覚の変化について」という研究で、明治大学の宮下芳明教授の研究グループが「栄養学賞」を受賞しました。

その後も企業と研究を続け「電気を流すことで塩味を濃く感じられるスプーンとして」5月に今年の5月に実用化されました。

糖尿病などで塩分を控え食事を美味しく感じられない人も、このスプーンを使えば塩味が感じられて、食事が美味しく楽しくなるのです。

武部教授チームのお尻からの「腸呼吸」も、2028年の医療機器としての実用化をめざしています。

イグ・ノーベル賞の日本人18年連続受賞から見えてくるのは、報酬や対価よりも、困っている人助けたいという、日本人の強く優しい愛です。

これからも日本人がイグ・ノーベル賞を受賞してくれますように。

思うような結果が得られなくても、毎日コツコツと研究を続けてくれている研究者の皆さまに光を当ててくれますように。

これからもっとイグ・ノーベル賞を応援し、注目していきましょう!