令和5年3月13日月曜日、ペットのクリスが死んでしまいました。
18歳4か月と10日でした。
ミニチュアダックスフンドですから、18歳では人間の年齢に換算すると100歳近い高齢犬。
「よく頑張って長生きしてくれたね、ありがとう」と褒めてあげるべきなのです。
でも、私はもっとクリスと一緒にいたかった。
ずっとずっと一緒にいるつもりだったのです。
だから、「どうしてもっと早く気が付かなかったのか…」「もっと早く病院に連れていけばよかった…」「もっと一緒にいれば良かった…」
強く自分を責める気持ちでいっぱいでした。
そして、深い後悔と、もう会えない、もう何もしてあげられない、もう二度と…という深い悲しみ。
この想いは粉雪のように、シンシンと積もっていきます。
出口の全く見えない長いトンネルにいるような、暗くて深い水底にどんどん沈んでいくような感じでした。
私は「ペットロス」の症状だったのです。
いえ本当は今もペットロスの症状を克服していないかもしれません。
しかし、今はそんな自分を許し、認め、歩き出そうと思えるようになりました。
ある時ふと気付いたのです。
こんなに「ペットロス」を感じるほど、本当はたくさんのものをクリスから与えてもらっていたのだと。
いつも出窓で見送ってくれたクリス。
私の帰りがなぜか分かって、いつも玄関でお出迎えしてくれたクリス。
クリスと過ごした愛情にあふれた、輝いた楽しい日々があったからこそ、こんなにも悲しくて寂しくてつらいのだと。
こんなに悲しくて寂しいなら、あの日々が無ければ良かったのでしょうか…。
それは、NOです。
一緒に過ごした日々をゼロにすることなんか、絶対にできません。
それなら、楽しかった日々も、この「ペットロス」の心も全部含めて、これからの生きていく力に変えていこう。
そう、思えるようになったのです。
私にはクリスがいたからこそ感じた深い愛情、広がった世界、出会えた人々もいます。
クリスを亡くして、出会った歌、そして本。
私がペットロスの症状を乗り越えるきっかけとなった方法を紹介します。
「ペットロス」その症状とは?
「ペットロス」とは「ペットを亡くした」という飼い主の体験、またそのことによる「悲しみ」のことです。
普通は人間よりもペットの方が寿命が短く、ペットを飼ったことのある人であれば、ペットの死は、誰もが経験することです。
しかし、その「ペットを亡くす」という悲しみが、重症化していると言われています。
それは、なぜでしょうか?
1)ペットロス、その症状とは?
一般的なペットロスの症状を多い順にあげてみると
①突然悲しくなり、涙が止まらくなる
②食欲不振、過食
③眠れない
その他に、幻覚、幻聴、妄想、外出できなくなった…などがあります。
クリスは突然、エサが何も食べられなくなりました。
その朝も、獣医さんから処方された食事代わりの白い粉を溶いた液体を、シリンジで少しずつ与えていました。
全部飲ませて寝かせたとたんに、全てを吐き出したのです。
抱えあげた私の腕の中で、苦しそうにしていたクリスが、だんだん動かなくなるのが分かりました。
クリス…と呼んでいる自分の声が、遠くなっていくように感じました。
クリスをバスタオルの上に寝かせました。
バスタオルを換えても、換えても、クリスの身体からは水分が出てくるのです。
クリスの体から水分がぬけるように、私の視界もだんだん色が褪せて、音の感覚もだんだん小さくなり…周りの世界が遠くなっていくように感じました。
窓の向こうは、明るくて当たり前のように、日常生活が始まっているのに。
私は喪失感でいっぱい…というか心は全く空っぽでした。
窓ガラス一枚なのに、とてつもなく大きな隔たりが、私と外の世界の間にできてしまったようでした。
2)ペットの死による悲しみが重症化している理由は?
ペットの死による悲しみが、重症化している原因は2つ考えられます。
- 私たちの家族形態が多種多様になっている
- ペットの寿命が伸びている
私たちの家族形態は、核家族化、少子化、そして単身世帯の増加など多様になっています。
その上、家族単位の人数は減少しているのです。
ですから、当然家族の中のペットの占める位置は大きくなっているのです。
そして、ペットの寿命は伸びています。
2021年には犬は14.2歳、猫は14.7歳となっています。
やはり、過ごした時間が多いほど愛情も思い出も増えていきます。
だからこそ、失った時には大きな喪失感におそわれるのです。
では、ペットロスの症状とは、どのようなものがあるのでしょうか?
ペットロスの症状を乗り越えることができた本2冊がこちら!
「もっと早く気付いていたら…」「もっと点滴をしてもらっていたら…」「こんなことならアイスクリームを食べさてあげたかった…」
今さらどうしようもないことで悩み、いつまでも涙が止まらない自分を何とかしたいと思っていました。
そんな時友達からのLINEの返信に、「クリスちゃんは、虹の橋で待っていてくれますね」という言葉があったのです。
虹の橋…ってなに?
「虹の橋」を検索しているうちに2冊の本に出会いました。
1)天国にいったペットたち あなたとふたたび会う日のために シルビア・ブラウン著
この本の中に虹の橋の伝説のことが、書かれています。
「天国の手前に「虹の橋」と呼ばれる場所がある。
この星で人間の友だった動物たちが、亡くなったあと待っている場所だ。
…1つだけ気がかりなのは、あとに残した人間のこと。
…いつかその日は来るだろう。
遠くにあなたの姿を見つけたから…」
「虹の橋」というのは、亡くなったペットが天国の手前で、飼い主を待っている場所なのです。
やがて現れる飼い主を見つけると、一目散に駆けてきて一緒に並んで天国に行く。
先に死んでしまったペットには、今は会えることができません。
しかし、虹の橋の手前で待っていて、死んだら迎えに来てくれる。
そして、虹の橋を渡って一緒に天国に行く。
再会したら思いっきり抱きしめて、クリスはペロペロ顔中をなめて…
それからはもうずっと一緒、離れることはありません。
なんて嬉しいお話なのでしょう。
2)ぺットがあなたを選んだ理由 塩田妙玄著
「虹の橋」には、もう一つのお話がありました。
「虹の橋の」のふもとには「どしゃぶり地区」という場所があるというのです。
ペットたちはサンサンと輝く太陽のもと、お花畑で楽しく暮らしながら飼い主を待っています。
しかし、飼い主が泣いているとそのペットだけ、「飼い主の涙というどしゃぶりの雨」に打たれ続けるというのです。
「ご主人様を幸せにすることができなかった…」と頭をたれて震えている…と。
みんなが楽しそうにお花畑を駆け回っているというのに、一人だけ雨に打たれているなんて。
もしそうであるならば、これ以上クリスを悲しませてはいけない。
私は、クリスから十分愛情を受けて幸せだったのだから。
もう泣いてはいけない。
もし涙があふれて止まらなくても、「クリスありがとう」「幸せだったよ」と感謝して泣くようにしています。
ペットロスの悲しみを光に変えた歌2選!
周囲の当たり前の日常生活についていけない、と思うことがありました。
だれも私のこの悲しみを、寂しさ分かってくれない…
外に出たくない、人に会いたくない…と思う日々もありました。
そんな時に流れてきた歌。
耳に残り、心にしみて、いやされ力をもらい、希望の光を感じられるようになった歌があります。
1)心得 uru
私たちはペットを飼うときに、何よりもまず、「心得」が必要だったのです。
それは、ペットの方が「先に死んでしまう」ということ。
どんなに可愛くても、大切でも、愛していても失ってしまう…見送らなければならないのです。
しかし、歌詞にあるように
「失うものあれば 必ず見つけられ光もある」
ペットがいたからこそ、愛情にあふれた幸せな日々があったのです。
ペットと過ごした日々を、ただの悲しみに、後悔にすることはできません。
「時に過ちに心が痛もうとも その悔いに学びながら 恐れずまた行け」
この悲しみ、後悔から何かを学び、歩き出さなければいけない。
どんなに小さな一歩でも良いから、自分を信じて生きていこう
そう思えるようになった一曲でした。
2)セーラー服と機関銃 薬師丸ひろ子
「さよならは別れの言葉じゃなくて 再び会うまでの遠い約束」
死は、言ってみれば目に見える世界でのお別れです。
「このまま何時間でも抱いていたいけど ただ冷たい頬を温めたいけど」
死んでしまったクリスの、そのやわらかな胸毛に顔をうずめて、いつまでも抱きしめていたかったのですが、それはできません。
でも私の胸、頭そしてこの手には、大切な思い出がフワフワして温かいぬくもりが残っています。
そして、いつか虹の橋のふもとで再会するのです。
「別れ」は「また会う約束」…そう思ったら心が軽くなったのです。
ペットロスの症状から周囲の優しさに気付いた出会い3選!
ペットロスの症状を乗り越える方法として
- 新しいペットを飼う
- ペットを亡くした経験を持つ人と悲しみを共有する
- 仕事・ボランティアを通じて動物と関わる
などが言われていることです。
1)新しいペットを飼う
私の友人にも新しくペットを飼った人もいます。
ネットでペットを探していたら、「目」が合って一目ぼれしたそうです。
亡くなったペットに似た犬を探してやっと見つけたのよ、と話してくれました。
赤ちゃんから育てるのは大変だからと、翌日には殺処分されるはずだった保護犬を引き取って育てている人もいます。
新しいペットを迎えるとその子に愛情を注げるので、亡くなったペットのことを考えてたり、泣いている時間がないほど忙しくなるようです。
もう飼うのは難しいから、動物愛護ボランティアに参加している人は、やはり動物と接することで癒されるのだそうです。
また、別れはつらいから…と植物を育てることに愛情を向けた友達もいます。
ペットに愛情を注いできた人は、愛情を注ぐものが必要なのかもしれません。
2)ペットを亡くした経験を持つ人と悲しみを共有する
私には偶然にも、私より先に、そして私の後にペットを亡くした友達がいました。
同じような経験をしていると思うと、涙をこらえる必要もありません。
相手の話も聞き、私の話もしてお互いに慰めあうことができます。
話を聞いてくれる人がいるだけだ、とても心強いものだと知りました。
新しくペットを飼った友達には、一緒にお散歩をさせてもらったりして、思い出にひたったり、今度ペットを飼ったときの、疑似体験をさせてもらったりしています。
別の友達とは、一緒にお花を買って育てたりしています。
また、友達が「クリスちゃんを見つけたの」と言って、ぬいぐるみを持って来てくれました。
クリスがいたから友達になり、失うという同じ経験をしたからこそ、より仲間意識が強まったのだと思います。
ペットロスの症状を乗り越える3つの方法とは?私の経験から紹介!:まとめ
クリスを失って、自分は一人ぼっちだと感じたとき、周りの人たちの優しさを知りました。
友達が「クリスちゃんを見つけたの」と言って、ぬいぐるみを持って来てくれました
クリスがいたので私は散歩をしていて、知り合った人たちがいます。
「生存確認のコミュニティ」と笑って言っていましたが、ある日思い切って一人で散歩に行ったのです。
その日、偶然会った人に「…クリスが死んじゃったのです」と話しました。
次の時、別の人に会ったら「聞いたよ、大丈夫?元気出してね!」と励ましてくれました。
これもクリスが私に残してくれた宝物の一つだと気付いたとき、クリスにまた一つ感謝が増えました。
ペットロスの症状を、無理に克服しようとしなくても良いのです。
失ったものがあれば、必ず出会う光もあります。
それは、着なくなった洋服を処分すると、その場所に新しい洋服が並べられるように。
ペットを飼った人には、ペットと過ごした大切な宝物があります。
目には見えなくても、その胸には、頭の中には可愛いペットが、いつも一緒にいます。
出会いとは、出て会うこと。
おそれずに自分を信じて、小さくても一歩を踏み出しましょう。
周囲の優しさに気付くこともあります。
出会いは人、歌、あるいは本かもしれませんが、きっと素晴らしい出会いが待っています。